diff options
Diffstat (limited to '.local/src/blesh/doc/README-ja_JP.md')
-rw-r--r-- | .local/src/blesh/doc/README-ja_JP.md | 563 |
1 files changed, 563 insertions, 0 deletions
diff --git a/.local/src/blesh/doc/README-ja_JP.md b/.local/src/blesh/doc/README-ja_JP.md new file mode 100644 index 0000000..9ea591c --- /dev/null +++ b/.local/src/blesh/doc/README-ja_JP.md @@ -0,0 +1,563 @@ +[ Languages: [English](README.md) (英語) | **日本語** ] + +<h1 align="center"><ruby>ble.sh<rp> (</rp><rt>/blɛʃ/</rt><rp>)</rp></ruby> ―Bash Line Editor―</h1> +<p align="center"> +[ <b>README</b> | <a href="https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A71-%E5%9F%BA%E6%9C%AC">説明書</a> | +<a href="https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%B3%AA%E5%95%8F%E3%81%A8%E5%9B%9E%E7%AD%94">Q&A</a> | +<a href="https://github.com/akinomyoga/blesh-contrib"><code>contrib</code></a> | +<a href="https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E9%80%86%E5%BC%95%E3%81%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94">逆引き</a> ] +</p> + +`ble.sh` (*Bash Line Editor*) はピュア Bash スクリプトで書かれたコマンドラインエディタで、標準の GNU Readline を置き換える形で動作します。 + +現在の開発バージョンは 0.4 です。 +このスクリプトは Bash 3.0 以降で利用できますが、速度・機能などの観点から 4.0 以降ののリリース版 Bash でお使い頂くことがお薦めです。 +現時点では、文字コードとして `UTF-8` のみの対応です。 +このスクリプトは [**BSD License**](LICENSE.md) (3条項 BSD ライセンス) の下で提供されます。 + +免責: ラインエディタ本体は **ピュア Bash** で書かれていますが、 +ユーザーコマンド実行時には TTY 設定の為に `stty` (POSIX) を呼び出します。 +他にも処理の高速化の為に、初期化・終了処理、 +巨大なデータの処理 (補完、貼り付けなど) の局面でPOSIX 標準コマンドを利用しています。 + +呼称: `ble.sh` はお好きな様に読んでいただいて問題ありませんが、一番短いのは標記の /blɛʃ/ になりましょう。 +しかし個人的には脳裡で /biːɛliː dɑt ɛseɪtʃ/ と読んでいるものですから、標記の読み方は飽くまで参考と受け止めていただければ幸いです。 + +## 簡単設定 + +`ble.sh` インストールには `git`, `make` (GNU make), and `gawk` が必要です。 +詳細は、試用またはインストールに関しては [節1.1](#get-from-source) と [節1.2](#get-from-tarball) を、 +`~/.bashrc` の設定に関しては [節1.3](#set-up-bashrc) を御覧ください。 +以下、GNU make が `gmake` として提供されているシステム (BSD など) では `make` を `gmake` に置き換えて実行してください。 + +```bash +# 簡単お試し (インストールせずにお試しいただけます) + +git clone --recursive https://github.com/akinomyoga/ble.sh.git +make -C ble.sh +source ble.sh/out/ble.sh + +# インストール & .bashrc 簡単設定 (動かない場合は節1.3を御参照下さい) + +git clone --recursive https://github.com/akinomyoga/ble.sh.git +make -C ble.sh install PREFIX=~/.local +echo 'source ~/.local/share/blesh/ble.sh' >> ~/.bashrc + +# 更新 (ble.sh をロードした状態で) + +ble-update + +# 更新 (ble.sh 外部から) + +bash /path/to/ble.sh --update + +# パッケージ作成用コマンド + +git clone --recursive https://github.com/akinomyoga/ble.sh.git +make -C ble.sh install DESTDIR=/tmp/blesh-package PREFIX=/usr/local +``` + +パッケージ管理システムを通じて `ble.sh` をインストールする事もできます (現在 AUR のみ)。 + +- [AUR (Arch Linux)](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/Manual-A1-Installation#user-content-AUR) `blesh-git` (devel), `blesh` (stable 0.3.3) + +## 機能概要 + +- **構文着色**: `fish` や `zsh-syntax-highlighting` のような文法構造に従った着色を行います。 + `zsh-syntax-highlighting` のような単純な着色ではなく、構文の入れ子構造や複数のヒアドキュメントなども正しく解析して着色します。 + 着色は[全て設定可能](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A72-%E6%8F%8F%E7%94%BB)です。 +- **補完増強**: [補完](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A77-%E8%A3%9C%E5%AE%8C)を大幅に増強します。 + **文法構造に応じた補完**、クォートやパラメータ展開を展開した上でのプログラム補完、**曖昧補完**に対応しています。 + また、候補をカーソルキーや <kbd>TAB</kbd>, <kbd>S-TAB</kbd> で選択できる + [**メニュー補完**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A77-%E8%A3%9C%E5%AE%8C#user-content-sec-menu-complete)、 + `fish` や `zsh-autosuggestions` のような + [**自動補完**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A77-%E8%A3%9C%E5%AE%8C#user-content-sec-auto-complete) + (Bash 4.0 以上) の機能もあります。 + 更に、従来 `peco` や `fzf` を呼び出さなければならなかった補完候補の絞り込みも + [**メニュー絞り込み**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A77-%E8%A3%9C%E5%AE%8C#user-content-sec-menu-filter) + (Bash 4.0 以上) として自然な形で組み込んでいます。 + 他に、[**動的略語展開**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A77-%E8%A3%9C%E5%AE%8C#user-content-sec-dabbrev) + や、[*zsh abbreviations*](https://unix.stackexchange.com/questions/6152/zsh-alias-expansion)・[`zsh-abbr`](https://github.com/olets/zsh-abbr) のような + [**静的略語展開**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A77-%E8%A3%9C%E5%AE%8C#user-content-sec-sabbrev) + にも対応しています。 +- **Vim編集モード**: `set -o vi` による編集モードを増強します。 + 挿入・ノーマルモードの他に(行・矩形)ビジュアルモード、置換モードなどの各種モードに対応しています。 + テキストオブジェクト・各種レジスタ・オペレータ・キーボードマクロなどにも対応しています。 + 拡張として `vim-surround` も提供しています。 +- 他にも + [**ステータス行**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A74-%E7%B7%A8%E9%9B%86#user-content-bleopt-prompt_status_line), + [**コマンド履歴共有**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A74-%E7%B7%A8%E9%9B%86#user-content-bleopt-history_share), + [**右プロンプト**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A74-%E7%B7%A8%E9%9B%86#user-content-bleopt-prompt_rps1), + [**過渡的プロンプト**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A74-%E7%B7%A8%E9%9B%86#user-content-bleopt-prompt_ps1_transient), + [**xterm タイトル**](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%C2%A74-%E7%B7%A8%E9%9B%86#user-content-bleopt-prompt_xterm_title), + など様々な機能に対応しています。 + +注意: `ble.sh` は、(プロンプト (`PS1`)、エイリアス、関数などを提供する) 典型的な Bash 設定集と異なります。 +`ble.sh` はより低層の基盤を提供するもので、ユーザは自分でプロンプトやエイリアスを設定する必要があります。 +勿論 [`bash-it`](https://github.com/Bash-it/bash-it) や [`oh-my-bash`](https://github.com/ohmybash/oh-my-bash) の様な他の Bash 設定と一緒に使っていただくことも可能です。 + +> デモ +> +> ![ble.sh demo gif](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/images/trial1.gif) + +## これまでとこれから + +このプロジェクトは初めは `.bashrc` の片隅で行われた小さな実験からスタートしました。 +2013年5月に `zsh-syntax-highlighting` のとある記事に触発されたのがきっかけでした。 +初めは数百行のコードを書けば構文着色が簡単に実現できるのではないかと思って始めた実験ですが、 +すぐに行エディタを根本から書き直さなければ実現できないのではないかということが分かり、 +独立したファイルにコードを移動した後に `ble.sh` という名前を与えました。 +この名前は Zsh の行エディタ (*ZLE* (*Zsh Line Editor*)) を真似て、 +但しシェルで書かれているという事を意識して `.sh` という拡張子にしたように記憶しています。 +`ble.sh` の読み方について屡々訊かれるのですが、最初に書いたように特に定まった読み方はありません。 +最初の実験は2週間程コードを弄って原理的に行エディタを作れるという事を結論づけて終わりました。 +本格的な実装が始まったのは2015年2月の事で12月には公開しました。 +その時点で行エディタとしては普段遣いに堪える程度に完成していました。 +Vimモードの実装は2017年9月に始まり2018年3月に一先ず完成としました。 +続いて補完の拡張は2018年8月に始まり2019年2月には一通り完成しました。 +現在は漫然とメンテナンスしている所でいつになるかは分かりませんが、以下に挙げるような機能も加えたいと何となく考えています。 + +- 2013-06 v0.0 -- 実験 +- 2015-12 v0.1 -- 構文着色 [[v0.1.14](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.1.14)] +- 2018-03 v0.2 -- Vim モード [[v0.2.6](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.2.6)] +- 2019-02 v0.3 -- 拡張補完 [[v0.3.3](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.3.3)] +- 20xx-xx v0.4 (plan) -- プログラム着色 [`master`] +- 20xx-xx v0.5 (plan) -- TUI設定画面 +- 20xx-xx v0.6 (plan) -- エラー診断? + +# 1 使い方 + +## 1.1 最新の git repository のソースから生成して試す (バージョン ble-0.4)<sup><a id="get-from-source" href="#get-from-source">†</a></sup> + +### ble.sh 生成 + +`ble.sh` を生成する為には `gawk` (GNU awk) と `gmake` (GNU make) が必要です。 +以下のコマンドで生成できます。 +GNU make が `gmake` という名前でインストールされている場合は、`make` の代わりに `gmake` として下さい。 +```console +$ git clone --recursive https://github.com/akinomyoga/ble.sh.git +$ cd ble.sh +$ make +``` +スクリプトファイル `ble.sh` がサブディレクトリ `ble.sh/out` 内に生成されます。 + +### 試用 + +生成された `ble.sh` は `source` コマンドを用いてお試しいただけます。 + +```console +$ source out/ble.sh +``` + +### インストール + +指定したディレクトリにインストールするには `make install` コマンドを使用します。 + +```bash +# ~/.local/share/blesh にインストール +make install + +# 指定したディレクトリにインストール +make install INSDIR=/path/to/blesh + +# パッケージ作成用 (パッケージ管理者用) +make install DESTDIR=/tmp/blesh-package PREFIX=/usr/local +``` + +Make 変数 `DESTDIR` または `PREFIX` が指定されている時、`ble.sh` は `$DESTDIR/$PREFIX/share/blesh` にコピーされます。 +それ以外で Make 変数 `INSDIR` が指定されている時、直接 `$INSDIR` にインストールされます。 +更にそれ以外で環境変数 `$XDG_DATA_HOME` が指定されている時、`$XDG_DATA_HOME/blesh` にインストールされます。 +以上の変数が何れも指定されていない時の既定のインストール先は `~/.local/share/blesh` です。 + +`.bashrc` の設定に関しては[節1.3](#set-up-bashrc)を御覧ください。 + +## 1.2 GitHub Releases から tar をダウンロードして使う<sup><a id="get-from-tarball" href="#get-from-tarball">†</a></sup> + +ダウンロード・試用・インストールの方法については各リリースページの説明を御覧ください。 +現在、安定版は開発版に比べてかなり古いので様々な機能が欠けている事にご注意下さい。 + +- 開発版 [v0.4.0-devel2](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.4.0-devel2) (2020-12) +- 安定版 [v0.3.3](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.3.3) (2019-02 fork) 拡張補完 +- 安定版 [v0.2.6](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.2.6) (2018-03 fork) Vim モード +- 安定版 [v0.1.14](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/tag/v0.1.14) (2015-12 fork) 構文着色 + +## 1.2 `ble.sh` をダウンロードして試す (旧バージョン ble-0.3 201902版)<sup><a id="get-from-tarball" href="#get-from-tarball">†</a></sup> + +`wget` を使う場合: +```console +$ wget https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/download/v0.3.3/ble-0.3.3.tar.xz +$ tar xJf ble-0.3.3.tar.xz +$ source ble-0.3.3/ble.sh +``` +`curl` を使う場合: +```console +$ curl -LO https://github.com/akinomyoga/ble.sh/releases/download/v0.3.3/ble-0.3.3.tar.xz +$ tar xJf ble-0.3.3.tar.xz +$ source ble-0.3.3/ble.sh +``` + +指定したディレクトリに `ble.sh` を配置するには単に `ble-0.1.7` ディレクトリをコピーします。 +```console +$ cp -r ble-0.3.3 /path/to/blesh +``` + +## 1.3 `.bashrc` に設定する<sup><a id="set-up-bashrc" href="#set-up-bashrc">†</a></sup> + +対話シェルで常用する場合には `.bashrc` に設定を行います。 +単に `ble.sh` を `source` して頂くだけでも大抵の場合動作しますが、 +より確実に動作させる為には以下の様にコードを記述します。 +```bash +# bashrc + +# .bashrc の先頭近くに以下を追加して下さい。 +[[ $- == *i* ]] && source /path/to/blesh/ble.sh --noattach + +# 間に通常の bashrc の内容を既述します。 + +# .bashrc の末端近くに以下を追加して下さい。 +[[ ${BLE_VERSION-} ]] && ble-attach +``` + +## 1.4 初期化スクリプト `~/.blerc` について + +ユーザー設定は初期化スクリプト `~/.blerc` (またはもし `~/.blerc` が見つからなければ `${XDG_CONFIG_HOME:-$HOME/.config}/blesh/init.sh`) に記述します。 +テンプレートとしてリポジトリの [`blerc`](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/blob/master/blerc) というファイルを利用できます。 +初期化スクリプトは `ble.sh` ロード時に自動で読み込まれる Bash スクリプトなので、Bash で使えるコマンドを初期化スクリプトの中で利用できます。 +初期化スクリプトの位置を変更する場合には、`source ble.sh` 時に `--rcfile INITFILE` を指定します。以下に例を挙げます。 + +```bash +# in bashrc + +# Example 1: ~/.blerc will be used by default +[[ $- == *i* ]] && source /path/to/blesh/ble.sh --noattach + +# Example 2: /path/to/your/blerc will be used +[[ $- == *i* ]] && source /path/to/blesh/ble.sh --noattach --rcfile /path/to/your/blerc +``` + +## 1.5 アップデート + +Git (`git'), GNU awk (`gawk`), 及び GNU make (`make`) が必要になります。 +`ble-0.3` 以上をお使いの場合は `ble.sh` をロードした状態で `ble-update` を実行して下さい。 + +```bash +$ ble-update +``` + +`ble-0.4` 以上をお使いの場合は `ble.sh` をロードしなくても以下のコマンドで更新可能です。 + +```bash +$ bash /path/to/ble.sh --update +``` + +それ以外の場合には、以下のように `git pull` で最新版を入手・インストールできます。 + +```bash +cd ble.sh # ※既に持っている git リポジトリに入る +git pull +git submodule update --recursive --remote +make +make INSDIR="$HOME/.local/share/blesh" install +``` + +## 1.6 アンインストール + +基本的に `ble.sh` ディレクトリとユーザの追加した設定を単に削除していただければ問題ありません。 + +- 全ての `ble.sh` セッション (`ble.sh` をロードしている Bash 対話セッション) を終了します。 +- `.bashrc` に追加した行があれば削除します。 +- `blerc` 設定ファイル (`~/.blerc` または `~/.config/blesh/init.sh`) があれば削除します。 +- `ble.sh` をインストールしたディレクトリを削除します。 +- キャッシュディレクトリ `~/.cache/blesh` が生成されていればそれを削除します。 +- 一時ディレクトリ `/tmp/blesh` が生成されていればそれを削除します。これは `/tmp` の内容が自動的にクリアされないシステムで必要です。 + +# 2 基本設定 + +ここでは `~/.blerc` に記述する基本的な設定を幾つか紹介します。 +[質問と回答](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E8%B3%AA%E5%95%8F%E3%81%A8%E5%9B%9E%E7%AD%94)、 +[逆引きレシピ](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E9%80%86%E5%BC%95%E3%81%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94)、 +[`contrib` リポジトリ](https://github.com/akinomyoga/blesh-contrib/blob/master/README-ja.md) にも便利な設定があります。 +その他の全ての設定項目はテンプレート [`blerc`](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/blob/master/blerc) に含まれています。 +詳細な説明に関しては[説明書](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/%E7%9B%AE%E6%AC%A1)を参照して下さい。 + +## 2.1 Vim モード + +Vim モードについては [Wiki の説明ページ](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/Vi-(Vim)-editing-mode) を御覧ください。 + +## 2.2 各機能の無効化 + +よくお尋ね頂くご質問の一つにそれぞれの機能をどのように無効化すれば良いのかというものが御座います。 +各機能の無効化方法を以下にまとめます。 + +```bash +# 構文着色を無効化 +bleopt highlight_syntax= + +# ファイル名に基づく構文着色を無効化 +bleopt highlight_filename= + +# 変数の種類に基づく構文着色の無効化 +bleopt highlight_variable= + +# 自動補完の無効化 (自動補完は Bash 4.0 以降にて既定で有効です) +bleopt complete_auto_complete= +# Tip: 代わりに自動補完の起動遅延をミリ秒単位でご指定いただくこともできます。 +bleopt complete_auto_delay=300 + +# コマンド履歴に基づく自動補完の無効化 +bleopt complete_auto_history= + +# 曖昧補完の無効化 +bleopt complete_ambiguous= + +# TAB によるメニュー補完の無効化 +bleopt complete_menu_complete= + +# メニュー自動絞り込みの無効化 (Bash 4.0 以降にて既定で有効化されます) +bleopt complete_menu_filter= + +# 行末マーカー "[ble: EOF]" の無効化 +bleopt prompt_eol_mark='' +# Tip: 代わりに他の文字列をご指定頂くこともできます。 +bleopt prompt_eol_mark='⏎' + +# 終了ステータスマーカー "[ble: exit %d]" の無効化 +bleopt exec_errexit_mark= +# Tip: 代わりに他の文字列をご指定頂くこともできます。 +bleopt exec_errexit_mark=$'\e[91m[error %d]\e[m' + +# コマンド実行時間マーカー "[ble: elapsed 1.203s (CPU 0.4%)]" の無効化 +bleopt exec_elapsed_mark= +# Tip: 代わりに別の文字列をご指定いただくこともできます。 +bleopt exec_elapsed_mark=$'\e[94m[%ss (%s %%)]\e[m' +# Tip: マーカーを表示する条件を変更することも可能です。 +bleopt exec_elapsed_enabled='sys+usr>=10*60*1000' # 例: 合計CPU時間が 10 分以上の時に表示 +``` + +## 2.3 曖昧文字幅 + +設定 `char_width_mode` を用いて、曖昧文字幅を持つ文字 (Unicode 参考特性 `East_Asian_Width` が `A` (Ambiguous) の文字) の幅を制御できます。 +現在は 4 つの選択肢 `emacs`, `west`, `east`, `auto` が用意されています。 +設定値 `emacs` を指定した場合、GNU Emacs における既定の文字幅と同じ物を使います。 +設定値 `west` を指定した場合、全ての曖昧文字幅を 1 (半角) と解釈します。 +設定値 `east` を指定した場合、全ての曖昧文字幅を 2 (全角) と解釈します。 +設定値 `auto` を指定した場合、`west` か `east` かを端末とのやり取りに基づいて自動判定します。 +既定値は `auto` です。この設定項目は、利用している端末の振る舞いに応じて適切に設定する必要があります。 +例えば `west` に設定する場合は以下の様にします: + +```bash +bleopt char_width_mode='west' +``` + +## 2.4 文字コード + +設定 `input_encoding` は入力の文字コードを制御するのに使います。現在 `UTF-8` と `C` のみに対応しています。 +設定値 `C` を指定した場合は、受信したバイト値が直接文字コードであると解釈されます。 +既定値は `UTF-8` です。`C` に設定を変更する場合には以下の様にします: + +```bash +bleopt input_encoding='C' +``` + +## 2.5 ベル + +設定 `edit_abell` と設定 `edit_vbell` は、編集関数 `bell` の振る舞いを制御します。 +`edit_abell` が非空白の文字列の場合、音による通知が有効になります (つまり、制御文字の `BEL` (0x07) が `stderr` に出力されます)。 +`edit_vbell` が非空白の文字列の場合、画面での通知が有効になります。既定では音による通知が有効で、画面での通知が無効になっています。 + +設定 `vbell_default_message` は画面での通知で使用するメッセージ文字列を指定します。既定値は `' Wuff, -- Wuff!! '` です。 +設定 `vbell_duration` は画面での通知を表示する時間の長さを指定します。単位はミリ秒です。既定値は `2000` です。 + +例えば、画面での通知は以下のように設定・有効化できます: +```bash +bleopt edit_vbell=1 vbell_default_message=' BEL ' vbell_duration=3000 +``` + +もう一つの例として、音による通知は以下の様にして無効化できます。 +```bash +bleopt edit_abell= +``` + +## 2.6 着色の設定 + +構文に従った着色で使用される、各文法要素の色と属性は `ble-face` シェル関数で設定します。 +既定の設定は以下のコードに対応します: +```bash +# 編集に関連する着色の設定 +ble-face -s region bg=60,fg=white +ble-face -s region_target bg=153,fg=black +ble-face -s region_match bg=55,fg=white +ble-face -s region_insert fg=12,bg=252 +ble-face -s disabled fg=242 +ble-face -s overwrite_mode fg=black,bg=51 +ble-face -s auto_complete fg=238,bg=254 +ble-face -s menu_filter_fixed bold +ble-face -s menu_filter_input fg=16,bg=229 +ble-face -s vbell reverse +ble-face -s vbell_erase bg=252 +ble-face -s vbell_flash fg=green,reverse +ble-face -s prompt_status_line fg=231,bg=240 + +# 構文着色の設定 +ble-face -s syntax_default none +ble-face -s syntax_command fg=brown +ble-face -s syntax_quoted fg=green +ble-face -s syntax_quotation fg=green,bold +ble-face -s syntax_escape fg=magenta +ble-face -s syntax_expr fg=26 +ble-face -s syntax_error bg=203,fg=231 +ble-face -s syntax_varname fg=202 +ble-face -s syntax_delimiter bold +ble-face -s syntax_param_expansion fg=purple +ble-face -s syntax_history_expansion bg=94,fg=231 +ble-face -s syntax_function_name fg=92,bold +ble-face -s syntax_comment fg=242 +ble-face -s syntax_glob fg=198,bold +ble-face -s syntax_brace fg=37,bold +ble-face -s syntax_tilde fg=navy,bold +ble-face -s syntax_document fg=94 +ble-face -s syntax_document_begin fg=94,bold +ble-face -s command_builtin_dot fg=red,bold +ble-face -s command_builtin fg=red +ble-face -s command_alias fg=teal +ble-face -s command_function fg=92 +ble-face -s command_file fg=green +ble-face -s command_keyword fg=blue +ble-face -s command_jobs fg=red +ble-face -s command_directory fg=26,underline +ble-face -s filename_directory underline,fg=26 +ble-face -s filename_directory_sticky underline,fg=white,bg=26 +ble-face -s filename_link underline,fg=teal +ble-face -s filename_orphan underline,fg=teal,bg=224 +ble-face -s filename_executable underline,fg=green +ble-face -s filename_setuid underline,fg=black,bg=220 +ble-face -s filename_setgid underline,fg=black,bg=191 +ble-face -s filename_other underline +ble-face -s filename_socket underline,fg=cyan,bg=black +ble-face -s filename_pipe underline,fg=lime,bg=black +ble-face -s filename_character underline,fg=white,bg=black +ble-face -s filename_block underline,fg=yellow,bg=black +ble-face -s filename_warning underline,fg=red +ble-face -s filename_url underline,fg=blue +ble-face -s filename_ls_colors underline +ble-face -s varname_array fg=orange,bold +ble-face -s varname_empty fg=31 +ble-face -s varname_export fg=200,bold +ble-face -s varname_expr fg=92,bold +ble-face -s varname_hash fg=70,bold +ble-face -s varname_number fg=64 +ble-face -s varname_readonly fg=200 +ble-face -s varname_transform fg=29,bold +ble-face -s varname_unset fg=124 +ble-face -s argument_option fg=teal +ble-face -s argument_error fg=black,bg=225 +``` + +現在の描画設定の一覧は以下のコマンドでも確認できます (`ble-face` を無引数で呼び出す)。 +```console +$ ble-face +``` + +色コードはシェル関数 `ble-color-show` (`ble.sh` 内で定義) で確認できます。 +```console +$ ble-color-show +``` + +## 2.7 キーバインディング + +キーバインディングはシェル関数 `ble-bind` を使って変更できます。 +例えば <kbd>C-x h</kbd> を入力した時に "Hello, world!" と挿入させたければ以下のようにします。 +```bash +ble-bind -f 'C-x h' 'insert-string "Hello, world!"' +``` + +<kbd>M-c</kbd> を入力した時にコマンドを実行するには以下のようにします。 + +```bash +ble-bind -c 'M-c' 'my-command' +``` + +<kbd>C-r</kbd> を入力した時に、ユーザー定義編集関数 (Bash の `bind -x` で指定するのと同様の物) を実行するには以下のようにします。 + +```bash +ble-bind -x 'C-r' 'my-edit-function' +``` + +既存のキーバインディングは以下のコマンドで確認できます。 +```console +$ ble-bind -P +``` + +以下のコマンドでキーバインディングに使える編集関数一覧を確認できます。 +```console +$ ble-bind -L +``` + +一つのキーで複数の編集関数を呼び出したい場合は、以下の例の様に、 +`ble/widget/編集関数の名前` という名前のシェル関数を通して新しい編集関数を定義できます。 +既存の標準の編集関数と名前が重複しない様に、 +編集関数の名前は `ユーザー名/`, `my/`, `blerc/`, `dotfiles/` などで始める事が強く推奨されます。 + +```bash +# C-t で複数の操作を行う例 +function ble/widget/my/example1 { + ble/widget/beginning-of-logical-line + ble/widget/insert-string 'echo $(' + ble/widget/end-of-logical-line + ble/widget/insert-string ')' +} +ble-bind -f C-t my/example1 +``` + +# 3 ヒント + +## 3.1 複数行モード + +コマンドラインに改行が含まれている場合、複数行モード (MULTILINE モード) になります。 + +<kbd>C-v C-j</kbd> または <kbd>C-q C-j</kbd> とすると改行をコマンドラインの一部として入力できます。 +複数行モードでは、<kbd>RET</kbd> (<kbd>C-m</kbd>) はコマンドの実行ではなく新しい改行の挿入になります。 +複数行モードでは、<kbd>C-j</kbd> を用いてコマンドを実行して下さい。 + +`shopt -s cmdhist` が設定されているとき (既定)、もし <kbd>RET</kbd> (<kbd>C-m</kbd>) を押した時にコマンドラインが構文的に閉じていなければ、コマンドの実行ではなく改行の挿入を行います。 + +## 3.2 Vim モード + +`.bashrc` に `set -o vi` が設定されているとき、または `.inputrc` に `set editing-mode vi` が設定されているとき、vim モードが有効になります。 +Vim モードの詳細な設定については [Wiki のページ (英語)](https://github.com/akinomyoga/ble.sh/wiki/Vi-(Vim)-editing-mode) を御覧ください。 + +## 3.3 自動補完 + +Bash 4.0 以降では自動補完が有効になり、予測候補が表示されます。 +候補を確定するには <kbd>S-RET</kbd> を入力します (編集文字列の末尾にいる時は <kbd>right</kbd>, <kbd>C-f</kbd> または <kbd>end</kbd> でも確定できます)。 +表示されている候補の初めの単語だけ部分的に確定する時は <kbd>M-f</kbd> または <kbd>M-right</kbd> を入力します。 +現在の候補で確定しそのままコマンドを実行する場合には <kbd>C-RET</kbd> (※お使いの端末が対応している時) を入力します。 + +## 3.4 静的略語展開 + +特定の単語を静的略語展開に登録することで好きな文字列に展開することができます。 +登録済み単語に一致する単語の直後で <kbd>SP</kbd> を入力した時に静的略語展開が起きます。 +例えば、以下の設定をしておくと `command L` まで入力した状態で <kbd>SP</kbd> を押した時に、コマンドラインが `command | less` に展開されます。 + +```bash +# blerc +ble-sabbrev L='| less' +``` + +実際に実行したいコマンドに含まれる可能性の低い単語として、`\` で始まる単語を静的略語展開に登録することもお薦めです。 + +```bash +# blerc +ble-sabbrev '\L'='| less' +``` + +# 4 謝辞 + +GitHub の Issue/PR を通して多くの方からフィードバックを頂き、皆様に本当に感謝しております。 +特に以下の方には大きな寄与を受けたので言及させていただきます。 + +- [`@cmplstofB`](https://github.com/cmplstofB) 様には vim モードの実装において初期よりテスト及び様々な提案をしていただきました。 +- [`@dylankb`](https://github.com/dylankb) 様には `fzf` との互換性や `ble.sh` 初期化に関連して様々な問題報告をいただきました。 +- [`@rux616`](https://github.com/rux616) 様には幾つかの問題報告および `.blerc` の既定パス解決のバグ修正をいただきました。 +- [`@timjrd`](https://github.com/timjrd) 様には補完の枠組みの高速化に関する PR をいただきました。 +- [`@3ximus`](https://github.com/3ximus) 様には広範囲に渡る様々な問題について報告いただきました。 |